世界最大のFlashポータルサイトを標榜するNewgrounds。ここのシステムは独特で、前から興味を持っていた。
理解してまとめてみたいと前々から思っていたけれど、肝心の本家サイトを見てもいまいちどこがどうなのか頭に入ってこない。一方で英語版WikipediaのNewgroundsの項目を覗いてみたら、これがなかなかよくまとまっている。そこで、そこから概要とVoting system、Portal awards、Front page iconsを訳してみることにした。
直訳のままだと分かりにくかったので、あれこれ文章を添削加工した。情報量を減らさないように気をつけたけれど、改変してあることはご了承を。すでにNEWGROUNDS 遊覧・参照ノート集という優れたまとめもネット上にあったのでそちらも参考にどうぞ。
あらかじめ要約しておくと、Newgroundsは
・登録すれば誰でも投稿できる。
・誰でも評価を点数でつけることができ、登録すればレビューもつけたりできる。
・投票の得点によって作品が自動的に削除、選別される。
・投票のやりかたしだいで投票者のレベルやランクが上がる。
・日毎、週毎、月毎に賞があって、ものによっては数万円の賞金が出る。
というシステムを採用しているようだ。読みながら実際にNewgroundsのサイトを見て、そのシステムを眺めてみてほしい。
○概要○
Newgrounds(以下、NGと略す)はアメリカ合衆国ペンシルヴァニア州のグレンサイドに本部がある1995年開設のウェブサイトだ。主にAdobe社のFlashによって作られたアニメやゲームを公開している。このサイトを創立し運営しているのはTom Fulp氏で、彼はいまもあやゆる点に目を通しつつ、コンテンツを定期的に制作している。NGは自動化された公正な作品投稿・評価システムを洗練させてきたことで、他のFlashサイトとは一線を画している。(Animation Portalsの項目を参照)
NGのユーザーは自分が持っているFlashの動画やゲーム、音楽をNGに投稿したり、他のユーザーがNGに投稿した作品を自由に閲覧したりすることができる。NGは長年、訪問者の協力によって成長してきたサイトである。Alexa(ウェブ・トラフィック調査会社)はNGをインターネット上位600サイトの中に位置づけた。
NGを訪問すると、投稿された作品に対してコメントしたり投票したりするように促される。この評価システムによって、投稿作品の一覧リストが出来上がって人気のFlash動画が見つけやすくなっているし、サイト管理者やユーザーたちが得点やPortal Awardsといった自分好みの要素によって動画を探し出すことができるようにもなっている。
NGには100万人が登録していて、2007年2月までに36万件以上のFlash作品が投稿されてきた。それらのうち9万4千件の投稿が「消去(blamming)」と呼ばれる自動削除システムを潜り抜けていまもサイトに残っている。
訳注:「blam」【間投】 バーン◆銃声、ドアを強く閉める音など(英辞郎on the Web)
○投票システム○
NGという自動化されたポータルサイトでは、ユーザーが0から5までの点で投稿作品を評価する単純な投票システムが採用されている。これによって低い点数をつけられると消去されて「死亡記事(obituaries)」送りとなってしまう。この死亡記事には、2001年3月14日からの全ての消し去られた作品が記録されている。
投稿された作品は、ある一定の点数を平均で下回ってしまうと消し去られる。必要とされる点数は数が増えていくごとに上がっていく、つまりよりクリアすることが困難になっていく。ある作品が200回評価された場合なら、平均で1.6点以上あるかどうかが「消去(blam)」されるかどうかの境界線となる。1.6点以上あれば「保存(saved)」あるいは「保護(protected)」されて、作者や管理者によって消されないかぎりは永久にサイトに残される。(参考:消去/保護の境界はその作品の平均点が、評価100回目で1.00点、150回目で1.25点、200回目で1.60点あるかどうかとなる。)
最近になって、条件を満たす場合、作者は自分の投稿作品を自分の手によって削除することが可能になった。その条件とは以下の三つ:
・評価が400回に満たない。
・どんなPortal Awardsも獲得していない。
・一回もFront Pageやコレクション・ページで取り上げられたことがない。
訳注:英文だと投票=評価付けの意味で「vote」が使われているのだけど、日本語だと「票を集める」というだけでいい意味になってしまう。なので、敢えて同じ「vote」でも「投票」や「評価(付け)」と訳しわけてみた。でも、ここではやってることは一緒。
○経験点とレベル○
一票あたりの重み、つまり「投票力(Voting Power)」を増すのには、二つの方法がある。一つ目は「Grounds Gold」とも呼ばれる「経験点(experience points)」を得ること。NGのメンバーはFlash PortalでFlashの動画やゲームに投票すると一作品につき2点が得られ、一日最高10点の経験点を稼ぐことができる。もう一つの方法は、「消去(Blam)」や「保護(Protection)」の点数を稼ぐことだ(こちらはあとで説明)。
NGには30のレベルがあって、レベルが上がるごとに要求される経験点が高くなっていく。レベル1から8までは、50点の経験点がたまるごとに次のレベルに上がる。レベル30になるにはNGにおいて最高の経験点がなければならない。つまり、同点で一位が何人も並ばないかぎり、NGでは一人しかレベル30になれない。レベル9から30まで必要とされる経験点はレベル9から30までの経験点の差、あるいはそれ以上となる。その点は変化しうるので、必要とされる経験点や幅はこのくらいだと正確に言うことはできない。
ユーザーのレベルはプロフィール欄に武器のアイコンによって、BBS投稿時に使われる彼らの名前の下に図示される。レベルの段階はFlash Portalにおける各メンバーの投票力に影響し、その経験の量を示している。だから、高レベルの人は尊敬されたりもする。あるレベルになると秘密のFlashを見たり、オプションを利用したりできるようにもなる。
訳注:Experiment pointsとGrounds Goldとは少し異なっている。作品に投票するとブラウザ上で一作品ごとに2点ずつ、最高で10点まで貯まっていく。それ得点を、Grounds Goldでログインして自分のアカウントに振り込む、という方式をNGは採っている。だから、途中でブラウザを閉じてしまうと経験点は貯まらない。Grounds Goldは経験点ではないけれど、Gronds Goldを経て経験点は貯まるシステムになっている。だから経験点、別名Gronds Goldと呼ばれるのだとか。めんどくさくてわかりにくいですね。
参考:結局、レベル9から10に上がるにはどのくらい経験点が必要かは、本家サイトのFAQにも書いていないので、分からずじまい。(レベル30の経験点−50点×レベル8つ分)/(30−8)=レベル9以上で次のレベルに上がるまで必要な経験点、ということになるのかな。
○消去(blam)/保護(protect)システム○
投票力を得るもう一つの方法は、「消去(blams)」や「保護(saves, protects)」の点数を積み上げることだ。これは、まとめて「消去/保護(blam/protect)システム」といわれている。
もうすでに投票システムによって投稿作品が消去されるということは説明した。投稿作品が消去されるかどうかまだ審議中のときに適用されるのが消去/保護システムで、審議中の作品に評価付けするようNGユーザーを促して、投稿作品の選別を円滑に進行させようと考え出されたものだ。
ユーザーは投稿作品がその後にたどる運命を言い当てる評価を与えていると、後から点数が与えられるようになっている。つまり、消去されないで残るようなFlashへ、残ることが決まる前に2以上の評価を付けていると、そのユーザーには「保存点(save point)」あるいは「保護点(protect point)」が与えられる。また、やがて消去される運命にあるFlashへ、消されることが決定する前に0か1の評価をつけていると、そのユーザーにはFlashが消去さたときに「消去点(blam point)」が与えられる。それぞれの場合で反対に点を入れてしまったなら、つまり生き残るFlashに低評価、消え去るFlashに高評価をつけてしまうと、そのユーザーには点が入ってこない。
保存・保護点と消去点はそれぞれ別々になっているけれど、投票力の上昇率を表す「ランク」の決定に影響してくるのはその両方の合計点だ。ランクが上がるとプロフィールに表示される段位も変わってくる。たとえば、「民間人(civilian)」(消去点と保護点を足し合わせても100点未満のユーザー)は投票力には何のボーナスも得られない。一方で「エリート衛兵最高司令官(Elite Guard Supreme Commander)」(消去点と保護点を足して3万点以上のユーザー)には投票力に60%のボーナスが与えられる。
それぞれのランクはレベル以外にもう一つあるアイコン、バッジ/勲章にも関係しているけれど、レベルのアイコンと違って、このアイコンはユーザーのプロフィール上でしか見られない。より詳しい説明やランク・アイコン・統計についてはNGのFAQを参照のこと。
群集心理が働いたりシステムがもてあそばれたりすることを防ぐために、審議中は評価の点数やレビューの内容は表示されない。
訳注:要するに、NGのユーザーは経験点と、消去点/保護点という大きく分けて2種類、3つの項目に分かれる点数を持っていて、経験点はレベルに、消去点/保護点はランクに関係している。経験点は日々少しずつ投票することによって、消去点/保護点は審議中の(つまり評価が定まっていない)投稿作品に相応しい評価をつけることで得られる仕組みになっている。試しに釜江靖之様の「Dream star fight!」に寄せられたレビューの評者の名前(「Reviewed by:」の後の部分)をクリックしてプロフィールを表示させれば、LVだのExp. Pointsだの、RankだのBLAMSだのSAVESだのといった得点や段階段位を見ることができる。RPGっぽくしてユーザーとして成長できるように工夫されているというわけ。
参考:Wikipediaでは触れられていないけれども、ユーザー項目としてはあと「ホイッスル(WHISTLE)」というのがある。NGのガイドラインを違反した投稿作品を見つけたユーザーがそうと警告を出すシステムで、警告は次の三種類:
・盗作である("This movie is stolen")
・悪意がある("This movie is malicious")
・不適切である("This movie is unsuitable")
もちろんNGのことだから、このホイッスルも他のユーザーから評価される。ホイッスルを乱用すると[ABUSIVE]とされてしまって、ホイッスルのレベルがマイナスされるのだ。
○Portal Awards○
Flash Portalに投稿された動画やゲームは次の賞を獲得する権利を持つ:
・今日の注目(Daily Feature): その日の最高得点作品。
・今日の2、3、4、5位(Daily 2nd/3rd/4th/5th Place): その日の得点上位作品。
・今週のユーザー選(Weekly Users' Choice): その週の最高得点作品。
・今週の2、3、4、5位(Weekly 2nd/3rd/4th/5th Place): その週の得点上位作品。
・レビュアー精選(Review Crew Pick): レビューの「総評(overall)」で最高得点の作品。
・今週の負け犬(Underdog of the Week): UOTWとも。レビューでの得点と、一般投票による評価との間で最も大きな食い違いが出た作品。
今週のくそったれ(Turd of the Week): TOTWとも。その週に消去を最低点で免れた作品。通過するまでに一度でも編集されたことがあるとこの賞を獲得することはできない。
今週のくそったれ(TOTW)は、作品の質が低くユーザーの満足を欠いたということで悪い賞だと見なされる。しかし、今週の負け犬(UOTW)は制作者がFlashを作るのは上手ではないけれども、客を惹きつける正しいアイディアは持っている作品だと認められる。
ほかの賞としては:
・キング・オブ・ポータル(King of The Portal):KOTPとも。前の週に最も多くのPortal Awardsを獲得したユーザー。日毎の得点上位1〜3位の作品だけが、キング・オブ・ポータルの候補としてそれぞれ3点、2点、1点が作者に与えられる。その合計得点が月間で最高だったユーザーがキング・オブ・ポータルになる。キング・オブ・ポータルという術語はStrawberryClockというユーザーが自称しているけれど、これを月毎の賞と間違えてはいけない。
・今月のベスト(Best of the Month): 2005年2月から、モデレーターや候補者だけでなく、経験点上位2000の現役NGユーザーも今月の投稿作品ベスト5を選ぶ投票を行えるようなった(その後、動画ベスト5とゲームベスト5の十作品に拡充)。上記に挙げた最初の5つの賞のうち一つを獲得されたり、その月にFront Pageに掲示されたりしたことがあれば投票対象となる。賞を勝ち取った10人には$250の小切手が送られ、通例はさらに月替わりのスポンサー賞も送られる。
訳注:要するに、評価の点数によって日毎、週毎、月毎に賞が与えられると思えばそれでいいのだと思います。Front PageはNGの表紙ページ、Flash PortalはNGのFlashコーナー、Portal AwardsはそのFlash Portal内で与えられる賞。モデレーター(moderators)は日本ではあまり見かけないけれども、海外の大きな掲示板群ではよくある役目で、掲示板を管理したりやりとりをまとめたりする人のこと。
参考:投稿作品へレビューするときは、コメントするだけでなく点数も項目別に付けて評価することになっている:総評(Overall)以外にも、画(Graphics)、音(Sound)、相互性(Interactivity)、表現方法(Style)、暴力性(Violence)、ユーモア(Humor)の各項目別に10点満点で点をつける。レビューをする人が総評につける点と、レビューをしないけど投票はする人がつけた評価点との間に出てくる差が大きな作品に、賞を与えて注目するのは面白い。
○Front Pageのアイコン○
2001年の4月19日に初めてFront Pageにユーザーが投稿したFlashゲームのアイコンが「トムとウェードのオススメ」という見出しで登場した。このゲームはPsycho_Goldfishという人によるTaipan 3000という名前のもので、Apple IIのTaipanという人気ゲームのリメイク作品である。
NGに投稿される作品は質が高くなっていったので、「トムとウェードのオススメ」項目は一つが二つ、二つが四つ、そして四つが六つへと増えていった。いまではFront Pageには20のアイコンが並んでいる。アイコンの数だけでなく更新される頻度もまた増していて、週単位から日単位となり、ついには「トムとウェードのおすすめ」の見出しが無くなって定位置を与えられて、新規ユーザーに質の高い作品を見てもらう役割を果たすように改められた。
もともと投稿作品のアイコンは、短い説明文と同様に、NGの管理人たちによって作られていた(コレクション・ページも同じ)。しかし、この作業は極端に時間がかかったので、すぐに改められて、ユーザーが登校時に自分たちでアイコンを添付したり、短い紹介文を書いたりできるようになった。
2005年1月はFront Pageの保存作業が始まって、NGのFront Pageに掲載する価値があると見なされたFlashコンテンツが月毎のリストにまとめられつづけてきた。
2005年7月26日、NGの有志によってアイコン・ヘルパーのシステムが始まり、アイコンの無い古いFlashコンテンツのためにアイコンが作成、投稿されるようになり、コレクション・ページが自動でまとまりやすくなるのを助けている。
訳注:コレクション・ページCollection Pageはテーマごとに投稿作品が集められたページで、たとえば釜江靖之様の「Dream star fight!」は「STAR WARS」のコレクションに収録されている。「トムとウェードのオススメ」のトムはNGを創立、運営するTom Fulp氏、ウェードはその兄弟のWade Fulp氏のこと。